ちょちょすけ旅日記

殿様よりもガウチョに憧れる下級藩士。身分も低く禄も安い、いつもヨレヨレ旅侍。殿さまの毒見のしすぎで口から毒が出るように。旅日記と毒を一日おきに書いております。雑種犬と古い映画とクラシックも好きだったりします。

上海で浮浪者に絡まれる

中国に上陸したての頃

上海駅の広い構内で



貧しい感じの
長い棒を持った大男に
じろじろ見られた後
ついて来られことがありました



野生の勘か
危険だと思い



すぐに駅構内にある
ガラス張りの
軽食屋に入りました



あるご夫婦の隣の席に
座りましたが



大男がガラス越しに
棒を持ったまま修行僧のような
でも鬼の形相で
ずっと私を睨みつけています




一体なぜ、、、




あの人がずっとついて来て
とても怖いと



隣のご夫婦と
店員に訴えました



ご夫婦も店員も
大丈夫だよホームレスだからと
言うのですが
奥様は不安そうな顔



あんな屈強な男が
ホームレス?
世が世なら戦で敵の首を
掲げて笑っていそう、、、



と思ったら
店内へ入ってきました



これはマズい
あの人に殴られたら
死ぬかもしれないと



生まれて初めて
恐怖で冷や汗が出て



隣の男性の腕を
ギュッと掴んでしまいました



でも私の方へ来る前に
若い男性店員が2人がかりで通せんぼ



ここは客だけだ!
入るな!
みたいなことを言って
全身で止めています



すると大男は
あのバックは俺の物だ
盗品だ!と



私の水色の小さい
バックパックを指差し
喚き始めました



私も意味がわかり
バックが狙われていたのかと
思ったと同時に
パニックになってしまい



隣のご夫婦に
日本から着いたばかりで
これは私の荷物で、、、
とオロオロと伝えたら



ご夫婦は
わかってるわかってる
あの人は狂人だから、、、
大丈夫大丈夫
もうすぐ公安(警察)が来るから
(店員が通報するらしい)



、、、でもその前に
暴力沙汰になったら、、、、



大男は
こいつが盗んだ!
泥棒だ泥棒だ!



と叫び始めたので
バックを差し出そうとしたら



ご夫婦だったか店員だったか
私のバックを押し戻しました



待て待て、、、と



そうしたら



いきなり
店の入口から
公安が2人現れ



ライ!(来い)



と言って大男を
羽交い締めにして
店の外へ連れ出しました



ガラス越しに
呆然と見ていると



長い警棒のような物で
抵抗している大男を殴りつけました



棒術のような
訓練を受けたのでしょうか
動きが鮮やかでした



大男も棒を
持っていたのですが
使うことはなく



公安の一撃で静かになり
縛られています



強そうな風体だったのに
一発でのされてしまって
やはり精神を病んでいたのか、、、



公安男性の一人が
店員と話をしてから
私の方に来て



あなたは日本人?
観光に来たの?
ケガはなかった?と聞かれ

肌が白いから
中国では腕を出さない方がいいと言い



公安の2人は大男を
引きずって行きました



腕がどうのと、、、
意味が解りませんでした



何も聞かれなかったし
バックの確認もなかった




店員さん曰わく



だってこれは
外国のデザインだ

あいつは頭がおかしかったし
武器を持っていたから

一生精神病院から
出てこないから安心しなよ


と平然と対処していました



ご夫婦は
農村から来た人たちで


発車するホームまで一緒に来てくれ
見送ってくれました


途中
色々と注意を受けました



暑いからと言って
腕を(半袖)出したらダメだ

色の白い人は目立つんだよ
だから変な男の目につくんだよ
(日焼けしている人が多かったから)

あと服もバックもきれいだから
どう見ても日本人だよ
一人で旅行なんて危険だよ



バック以外は
全身モノクロでしたが
それでも中国人ではない
とわかるそうです


服はその後、水質と手洗いで
自然とヨレヨレになっていき
顔も日に焼け、こけてきてからは
じろじろ見られなくなりました



それにしても
公安の有無を云わさぬ
素早い処罰



刑罰も早いそうで



スパイ容疑や
麻薬容疑をかけられたら
あっという間です



もっと用心しなければ
いけませんでした



少林寺の本で



少林拳を習っても
初心者は実戦経験がないと



いざという時に
足がすくんで動けないので



どこを攻撃してとか考えずに
まずは逃げること



戦いを避けた者と勝った者だけが
生き延びることができると
読んだ記憶があり
いたく思い出していました

老齢のジャズバンドで有名な
上海の和平飯店ホテル
1万円位だった部屋が


今年チェックしたら
3万位になっていました、、、

ホテルにあった戦前の上海の写真
尖ったのが和平飯店
港町の風情があります




次で終わり